最終更新日:2012年5月10日

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Q戦今日呈

エギングを始めたとき、どのエギを購入するか迷うと思います。
釣具屋の棚には所狭しと数多くのエギが並んでいます。少し大きな釣具屋なら、アオリーQとエギ王Qが並んでいると思います。メーカー品のエギではこの2つの販売価格が最も安く、どちらを購入するか迷ったことはないでしょうか。どちらも既に名エギとして非常に高い評価と信頼を得ており、某雑誌でも人気エギナンバー1、2となっています。
アオリーQを製造している株式会社デュエル(ブランド名はヨーズリ)、エギ王Qを製造している株式会社ヤマリア(ブランド名はヤマシタ)はどちらもエギの老舗であり、人気を2分するメーカーであり、価格帯も同じため、顧客層が非常に類似しているライバル関係にあると言えます。
過去から、この2社の”Q”を冠した製品の間には非常に熾烈な”戦”いがあり、”今日”の、この状況を”呈”しており、管理人は勝手に「Q戦今日呈」と称しています。

ここでは「Q戦今日呈」の経緯を解説します。
なお、過去の雑誌、各社への質問のメール等に基づく正確な情報を記載したいのですが、アオリーQとエギ王Qが販売された当時、管理人はエギングをしていなかったので、その時の状況は推測となります。また、その他、推測に基づいて記載している箇所もあるのでご承知ください。

第1ラウンド:Qの名称

◆不朽の名作アオリーQ
アオリーQは、エギの歴史に燦然と輝く傑作のエギです。数多くの新製品が販売されている現在でも、このエギが一番という根強い信奉者もいるようです。また、当時、このエギでアオリイカを釣りまくった記憶を持っている方も多いようです。
Qの意味は(株)デュエルに照会したところ、納得できる回答をいただきましたが社外秘にするよう依頼がありましたので、掲載できません。

◆「エギ王」にQを付けて新製品「エギ王Q」が販売される
当時、(株)ヤマリアのエギは「エギ王」でしたが、新製品を「エギ王Q」としました。「Q」とは英語の「QUAY」 の頭文字です。「QUAY」とは埠頭、岸壁、波止場、桟橋等のことを指す意味で、エギングのメインステージである“陸っぱりの釣り場”全般を網羅する意味だそうです。ネーミングに関して、(株)ヤマリア内部でも様々な意見があったそうですが、(株)デュエルとは全く関係なく、たまたま似たような名前になってしまったそうです。((株)ヤマリアに照会した内容です)

意味は違っても、人気エギと同じ”Q”を付けるのはどうだろう。便乗かも?と管理人は思います。今ではどちらもQが付いていることが当たり前でしょうが、当時は相当なインパクトがあったのではないでしょうか。
「こくまろ」と「熟カレー」のパッケージが類似したためトラブルになったことを思い出します。

(株)ヤマリア 減点5(▲5点)

第2ラウンド:ナチュラルカラー

◆エギ王Qにナチュラルカラーが登場
2008年に、それまでのエギの概念を覆す斬新な色のエギが(株)ヤマリアから販売されます。それまでは杉柄だったり、ドットやエビ柄などエギの模様は人工的な感じが強かったのですが、「ナチュラルカラー」と呼ばれるこのエギは、魚の模様や色合いを模したものでした。
釣れそうでしたし、気に入った色のエギもあり、管理人も飛びつきました。管理人だけではなく、多くのエギンガーが、このナチュラルカラーに魅かれたのではないでしょうか。
なお、2003年の「ファインディング・ニモ」で一躍有名となったクマノミですが、ナチュラルカラーではクマノミを模したエギも製造されています。人気にあやかった便乗商法なのか、採算を度外視した洒落なのかは不明ですが、実はこのクマノミカラー、結構釣れるそうです。

◆アオリーQにリアルカラーが登場
エギ王Qのナチュラルカラー販売から約1年遅れて、アオリーQシリーズの一つであるアオリーQ RSにリアルカラーが販売されました。「ナチュラルカラー」とは言わずに「リアルカラー」と言っているところに引っかかりがあります。この時点でナチュラルカラーを模したのは(株)デュエルだけでした。
リンク先の写真を見比べていただくと、どうでしょうか。色だけを見たらどちらのエギを欲しくなりますか。管理人はアオリーQのリアルカラーです。色が少し濃く、コントラストがはっきりしています。人にもアピールするエギのようです。これは偶然ではなく、ターゲットより優れたものを商品化する販売戦略だと思います。
ホンダのストリームに対して、トヨタがより低価格のウィッシュをぶつけた故事が思い出されます。

なお、エギメーカーの世界では、この類の模倣はよくあるようです。意匠権の特許を取らないので自由です。後で説明するとおり、(株)デュエルの考えたクリアカラーも今では一般的で、(株)ヤマリアも採用しています。

(株)デュエル 減点1(▲1点)

第3ラウンド:新製品と新カラー

エギ王Qが毎年、ネオトラッドカラー等の新色を出すのに対して、アオリーQは新色だけではなく、アオリーQ RS、アオリーQ エース等の新製品を投入して顧客の確保、増大を図ります。両社だけではなく、多くのメーカーが毎年のように新カラーや新製品を販売しています。
毎年のように缶コーヒーの新製品が出るのを彷彿させます。

両社減点なし。

第4ラウンド:温度に関する見解の相違と広告

◆エギ王QLiveを発売
(株)ヤマリアが長年の研究成果と新素材開発により、2010年に満を持して販売したのがエギ王QLiveです。「イカは温度の違いを分かること」が確認でき、水中で逃げ惑うベイトフィッシュライクな熱放出を生みターゲットにアピールすることが、このエギの最大のウリです。同社のホームページでは、これを結論付けるに至るまでの実験結果も公表されています。
ある釣具屋によると、このエギは”異常な売れ行き”だったそうです。

◆(株)デュエルによるネガティブキャンペーン
顧客層が重なっていると思われる(株)デュエルがこれに危機感を抱いたかどうかわかりませんが、ネガティブキャンペーンを展開します。
今の広告でこそ、「微熱の場合、水を通してイカに伝わることはありませんが、夏場の車内で高温になったエギ等は、自然のエサとの温度差(自然のエサ=水温)の為、触った時イカに違和感を与えてしまう恐れがあります。海水に十分なじませてから、ご使用ください。」と小さく注意書きされている程度ですが、当初の広告(エギング超入門vol.6等)では普通の大きさの文字で「嗅覚・味覚・聴覚は捕食活動中にはほとんど使われません。視覚・動き・触覚に訴えない限りイカの釣れる可能性は低くなります。魚は変温動物で水の水温と同じ体温になります。優れた能力を持つイカですが、水中で離れて泳いでいるエサの体温を感知する能力はありません」と記載しています。

企業戦略とは言え、都合良い情報提示のように思えます。
@魚の体温は海水温と同じではない
まず、魚の体温は海水温と全く同じではありません。魚も筋肉を使って運動しているため当然です。研究論文では「一般的に魚の体温は、マグロやサメなどの魚類を除き、生体機構上生息水温+0〜0.7℃程度」と記述されていました。エギ王QLiveは水温+0.5〜1℃となるため、まさに、ほぼ魚の体温です。
(株)デュエルはこのことを知らない漁具メーカーではないはずですが、敢えてコンマ以下の温度差はないものとして”魚の体温は海水温と同じ”と広告したのにエギ王QLiveへの悪意を感じます。

A微熱の場合、水を通してイカに伝わることはないのか
(株)ヤマリアが実験結果を公表の上で温度には効果があるとしていることに対して、上記の広告のとおり(株)デュエルはこれを真っ向から否定しています。同社も実験結果があるのか、または実験結果の解釈に別の意見があるのか、その根拠を問い合わせました。
2011年2月7日に同社の業務課/カスタマー課からいただいた回答です。担当者の方も苦心されているようです。
(略)
ヤマリア様『エギ王QLIVE』のウォームジャケットを否定するようなコメントを記載しておりますが、ウォームジャケットを否定するものではなく、あくまで弊社エギのコンセプトとして温度(体温)ではなく姿勢・カラー・フォルムによりイカを誘うと事を一に考え開発しております。
勿論、変温動物はいえ、「泳がなくとも呼吸できる魚は,ほぼ水温と体温は同じです。」や「海水温より1度たかい。」など色々と説は御座いますがエギ王QLIVEを開発された方の着眼点は関心致しましております。

実験結果についてのコメントは難しいですがヤマリア様の報告に嘘はないと思います。しかし、釣果は釣人・場所で異ると思います同じタックルでも隣人の釣果が良かったりする事が多々ありますので数字だけでは釣を語れないのでは・・・!とこれは個人的な考えですが。
(略)
今後もヤマリア様商品及び弊社製品へのご愛顧をこれからも宜しくお願い致します。

B多くのメーカーに宣戦布告
聴覚及び嗅覚も否定しています。
ラトルをエギに入れて、聴覚を刺激してイカに興味を持たす製品もあり、実績もあります。このエギに替えた途端に釣れる場合もありますし、初期の新子シーズンでは抜群の集魚力があります。一方、嗅覚についてですが、イカにも嗅覚はあるのでしょうが、同社がPRするように捕食活動中の優先順位は低いと思われます。
また、当初の広告ではエギの素材について、「温度が抜けにくい古来の木やウレタン製のエギはほとんど使われなくなっています」とも記載しており、桐を使い、かつては入手困難だったにも関わらず今や全国で販売されている餌木猿や、ウレタン製の名作であるエギマル、エギS2等、各種メーカーに対する排斥です。
他社のこれらのエギには欠陥があると言わんばかりのネガティブキャンペーンには同社も反省したのか、現在は比較的穏当な広告になり、素材に関する記述は削除されています。

Cそれでも今でも
今の広告も変です。「夏場の車内で高温になったエギ等は−」は納得できる内容ですが、わざわざ「微熱の場合、水を通してイカに伝わることはありませんが」を最初に書いて、エギ王QLiveをターゲットにしています。現在も、科学的根拠が得られたり見解の相違があるとは回答していただいていません。それでもこの文言を残すのは、幼子が議論しているようなもので、全く議論の接点がありません。
表現の問題でしょうか。イカは微熱を感知できるけど、微熱の温かさは水を通してイカには伝わらないという意味だと。

どちらにせよ、往生際が悪い、一部の政治家を見ているようです。

誇大広告は数多くありますが、他社を非難する広告はあまり見ません。
もっとも、(株)デュエルがこのような広告をするのは初めてではありません。同社の製品ではありませんが、同社のプロスタッフである笛木展雄さんが出演するDVDは「最強 シンプルエギング もう2段シャクリはいらない」です。2段シャクリを引き合いに出す必然性はないのですが、わざわざ持ち出してPRする。

管理人が(株)デュエルの製品を買わなくなったのは、このような同社の姿勢に嫌気がさしたからです。

(株)デュエル 減点10(▲11点)

第5ラウンド:エギ王QLive クリア下地を採用

◆エギ王QLive クリア下地を採用
(株)デュエルがクリア下地を開発してから約2年。(株)ヤマリアもクリア下地を導入しました。
もっとも、この時点で多くのエギがクリア下地を導入していたので、対抗措置とは言えませんが、一応、減点します。

(株)ヤマリア 減点1(▲6点)

まとめ

採点結果は以下のとおりです。
(株)ヤマリア ▲6点
(株)デュエル ▲11点

どちらも良いエギを作っているので、今後も釣れるエギを開発していただきたいと思います。
そして、開発者の努力と技術を裏切らない販売活動をしていただきたいと思います。
古くからのアオリーQファンの方は、本ページをご覧になって不愉快になることは想像していますが、ファンの方で、アオリーQに愛着がある方なら尚更、今回の(株)デュエルの対応を不愉快に思われるものだと思います。

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