最終更新日:2011年2月6日

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アオリイカの生態

アオリイカとはこんなイカ

◆3種類のアオリイカ
アオリイカは最も馴染みがあり、太平洋側では北海道南部より南に、日本海側では能登半島付近より南側に生息している「白イカ」、和歌山や四国南部等温暖な海に生息し、サイズも大きくなる「赤イカ」、沖縄及び南西諸島等に生息する「くわイカ」の3種類がいます。ここでは、最も一般的な白イカについて紹介します。

◆アオリイカの名前の由来と地方名
アオリは漢字で「泥障」と書きます。乗馬の鞍の下に敷いた泥よけを泥障と言い、それがアオリイカのヒレの形に似ていたためです。また、外見がバショウの葉に似ることからバショウイカとも呼ばれます。また、藻場に産卵したり藻場を好むため四国地方ではモイカと呼ばれます。九州地方ではミズイカと呼ばれます。

◆オスとメスの見分け方
オスは筋状の模様ですが、メスは斑点状の模様です。
また、最も腹側の足の1対が左右対称ならメスで、左側の先端寄りの吸盤がなくなり、肉質のとげのようになっていればオスです。これは、メスの胎内に精子のカプセルを入れるための交接腕です。

アオリイカの一生

◆寿命は1年
3キロを超える大物が釣れることがあるアオリイカですが、複数年で成長するのではなく、1年でその一生を終えます。公立の研究機関や雑誌記事等を見ても、寿命が1年を超えるという研究成果や記事を読んだことはありません。
アオリイカは暖かい海を好みます。生息域の北限は北海道南部で、日本での南限はないようです。奄美大島や八丈島、小笠原諸島など暖かい地域ではイカの成長がよく、4キロ以上の大型も釣れています。

◆アオリイカの産卵
そんなアオリイカの1年ですが、冬の間、陸地に近い浅い海は水温が低いため、深くて水温の安定した場所で過ごします。15℃を下回ると生息できないそうです。
春から初夏にかけて海水温が上昇して約17℃になると、産卵のために深場から浅場に接岸し、メスたちを争ってオスは壮絶な戦いをします。ヒレや体色を変えて威嚇したり、ぶつかったり、噛みつきあいになったり。時には戦いで命を落とす場合もあるそうです。

メスは、ホンダワラやアマモ、マメタワラなどの海藻に卵が入った寒天質状の房を産卵します。房の根本にある糸みたいなものを、房が流されないように腕を使って器用に巻きつけます。係留ロープやタイヤにも産卵することがあるようです。また、産卵床としてダイバーなどが設置した竹にも産卵するようです。数回に分けて産卵し、卵を産んだ親イカは死んでしまいます。産卵モードに入ったイカは食欲よりも産卵を優先させるためエサを食べることはありませんが、産卵と産卵の合間にはエサを荒喰いするそうです。
親イカが死ぬため卵は親に守られませんが、他の魚に食べられることはありません。これは、魚が嫌がる物質を出すためと考えられているようです。

◆孵化した時から生存競争
卵は約3週間で孵化します。生まれたアオリイカは数ミリで、この瞬間からメバルやタイなどに狙われる被捕食者です。狙っていたかのように、他の魚が生まれたてのアオリイカを襲います。一方のアオリイカも生まれたときからスミを吐いて逃げます。生存率は1%未満だそうです。

無事に生き延びたアオリイカは群れを作り、貪欲に甲殻類や小魚などのエサを食べて成長します。生きエサだけではなく死んだエサも食べますが、生きエサの方が好みのようです。エサがいなければ共食いをするほどの貪欲さです。高級食材であるアオリイカを養殖できない理由は様々ですが、一つは共食いにあります。水族館の飼育員さんの話では、「初秋に漁師さんに新子を100杯くらいもらうが、3〜4カ月で主に共食いで1割まで減る。アオリイカの食欲に応えるだけのエサは与えられない…。朝、出勤すると、水槽の中がスミで真っ黒なんてこともある。」そうです。

この頃のアオリイカに遊泳力はあまりなく、湾の奥や磯の浅場など生まれた場所に居ついて成長するようです。

◆秋〜冬
9月になれば2.0号程度のエギを抱くことが出来る程度の大きさに成長します。その後もすくすくと成長し、10月になると本格的なエギングシーズンを迎えます。胴の長さを例える言い方として、マッチ箱、コロッケ、トンカツ、スリッパ等があります。11月になると1キロを超えるまで成長する個体もいます。大きくなるにつれ遊泳力がついて、より大きく豊富なエサを求めて生まれ育った場所から回遊するようになります。
「完全無欠のエギングBOOK」(名光通信社)によると、イカに標識をつけて放流した実験では、敦賀と京都府で放流したイカが、1ヶ月後に160km離れた鳥取県で捕れたそうです。一方、徳島県水試の実験では300杯放流して15杯を採捕し、最も遠くて16.2km離れた場所で採捕したそうです。北陸は寒いので温かな山陰地方に移動したのでしょうか?
なお、大きくなるとあまり群れをつくらなくなるようです。
冬になり海水温が下がれば水温の安定した深場で過ごすようになります。

なお、以上の説明は日本海側のことです。日本海側は冬の海水温が低下し、冬の間はイカが産卵することはできません。春になって海水温が上がると一斉に産卵を始めるため、同程度の大きさのイカが釣れます。ただし同じ日本海側でも、山口県や九州と北陸とでは産卵や孵化は1〜2週間異なるようです。
南の離島や黒潮の影響を受ける南紀等では年中産卵が可能で、親イカと子イカが混ざって釣れるそうです。

アオリイカの性質

◆エサを判断する要素
「完全無欠のエギングBOOK」(名光通信社)によると、匂いも出ない、触ることもできない透明なガラス瓶に封入したエサに対して何度も触腕を伸ばしたそうです。このことから、匂いがなくても視覚でエサを判断できることが分かります。
なお、匂いだけの実験結果が掲載されていなかったので匂いの効果は不明ですが、一部のメーカーは匂いに効果があるとしています。また、音にも反応すると考えてラトル入りのエギを販売してるメーカーもあります。魚も生物なので発熱しており、海水温よりコンマ数度高い体温がありますが、エギの上布に微温を持たせたものもあります。
触覚もあるようで、上布がある方が長い間エギを抱きます。また、上布の生地によっても抱く時間が異なります。

◆夜も活動する

夜は寝る魚もいますが、アオリイカは夜も捕食活動をしています。
そもそも日中エギングがブームになる前は、アオリイカは夜釣るものでした。

◆スミについて
イカもタコもスミを吐きますが、その性質は異なります。アオリイカが吐くスミは匂いや味がついた分身で、捕食者の気をスミに向かせているうちに逃げるように吐きます。
一方、タコのスミは煙幕で、捕食者の視覚を遮るために吐きます。
実際に、イカスミは料理に入れますが、タコスミを料理に入れることがないことから、理解していただけると思います。

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