最終更新日:2011年2月13日

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研究論文の紹介と引用

アオリイカは研究機関でも研究されており、学術的な論文も多数発表されています。釣り人の視点から参考になるものもあると思われますので、紹介します。
なお、エギンガーの視点と、一市民の理解度でまとめていますので解釈の誤りはご容赦ください。

論文は、今後、随時追加します。そのうち、雑学に移動する論文もあるかもしれません。

標識放流結果からみた富山湾における秋期のアオリイカの移動
林清志(2004)水産海洋研究 68(2) 97-105

◆実験の概要
富山県と石川県の富山湾沿岸地域で、1991〜1993年の9〜11月に、定置網に入網した外套背長6〜23cmの1753個体を放流し、81個体を再捕した結果です。

もっとも遠くで捕獲されたのは57km離れた場所でした。
移動速度は、1km/日以下が29個体と最も多く、放流場所で再捕された個体を除くと3km/日〜4km/日が6個体、最高は17.0km/日でした。

◆考察より
考察では、他の論文の結果が引用されており、参考になる内容を転記します。(スペースの都合上、転記元までは掲載しません)
・長崎県水産試験場が11月に放流した実験では11日後に170km離れた鹿児島県で捕獲された。(移動速度15.5km/日)
・若狭湾東部の敦賀半島先端海域で放流したアオリイカはすべて放流海域より西の若狭湾内で捕獲された。移動距離は2〜70km。移動速度は0〜17.0km/日。

◆管理人の感想
居着きのアオリイカを釣りきったらどうなるか、また、回遊待ちといっても、どの程度遠くから回遊してくるか、港から磯まで数多くのエギンガーがいてイカがスレている場合、どの程度遠くからフレッシュなイカが来るのか疑問でしたが、参考になる論文です。
今後、移動距離と体の大きさの関係等の調査を期待します。

アオリイカの生態学的研究(海域利用新技術実用化試験)人工産卵礁による産卵場所および卵塊付着基質の選択性試験
上田 幸男・天真 正勝・北角 至・福永 稔・広沢 晃・森 啓介

◆実験の概要
産卵場所に適した水深、材質等を実験したもの。
場所は、
(A)アマモが繁茂する水深3〜5mの場所
(B)岩影で沖合いから波浪の影響を受けにく水深8〜11mの場所
(C)直接波浪の影響を受ける水深7〜10mの場所
産卵床はコンクリートブロック(100×100×50cm)に
(1)鉄筋(φ13mm,φ19mm,高さ50cm)を10cm 間隔に36本刺したもの
(2)FRP棒(φ3mm,φ9mm,高さ50cm)を10cm 間隔に36本刺したもの
(3)ポリエチレン製中層網籠(東京製鋼K.K.製アオリイカ産卵礁)を装着したもの

A、C 両地点では周年を通じて全く産卵が認められず、アオリイカは産卵場として波浪の影響を受けにくい岩影や入り江を選び、水深3〜5mよりも水深8〜10mを好むものと考えられた。
また,1990 年における3 種の付着基質の産卵量はポリエチレン製網籠>鉄筋>FRP の順だった。

◆管理人の感想
ポリエチレン製産卵床の成績が悪ければ商品価値が落ちます。産卵床でも、(A)に産卵されなかったのは、アマモ等の自然物に産みつけられていたからでしょうか。(B)で人工物に産みつけられていたのは、自然物がなかったからかもしれません。

頭足類の社会性と知性基盤
池田譲(2004) Nippon Suisan Gakkaishi70(5),783-784

◆実験の概要
アオリイカが鏡に映る自分を自分と認識することが出来るか実験したもの。
飼育している水槽に鏡を20〜28分提示し、アオリイカの行動を観察したところ、鏡に対して他のアオリイカへの攻撃や威嚇、捕食とは異なるタッチを繰り返し行った。
通常の飼育では、アオリイカが他の個体にこのようなタッチをする行動は観察されないので、自分を認識している可能性がある。

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