最終更新日:2011年4月24日

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安エギ 徹底解剖

メーカー品のエギが600円〜1,400円もするのに対して、100均でもエギは売られていますし、釣具屋でも300円以内でエギが売られています。これらのエギは「安エギ」、「デフレエギ」等と呼ばれます。
ロストがつきもののエギングで、安エギでは経済的に大いに助かりますが、問題なく釣れるかが悩みどころです。
管理人はエギングを始めたとき、安エギしか買いませんでした。行ったことのない釣具屋で安エギを探すのが楽しくなり、様々な安エギを買い、使いました。秋に爆釣した安エギもありますし、春イカが釣れた安エギもあります。
現在は安エギはほぼ使っていません。
安エギについての注意点と、使わなくなった理由等を説明しながら安エギについて徹底解剖します。
なお、個々の安エギの特徴については、「安餌木蒐集倶楽部」で紹介しています。

安エギができるまで

◆設計
メーカー品は沈下角度や速度をテストしたり、色やカラーパターンのテストを繰り返して商品化しています。一方の安エギは、メーカー品を模倣したり、テストはしていないと思われます。写真上のエギや安エギで、下はメーカー品の墨族で、模様がよく似ています。ちなみに、どちらも3.5号ですが、明らかに大きさが違います。ミュラー・リエル錯視ではありません。
か○や釣具のオリジナル安エギは初期のエギ王Qそっくりです。アオリーQによく似た安エギもあります。
安エギは、どのように形状を決めているかは知りませんが、なかには「こんな形状のエギは見たことがない」という太っちょだったり角張ったものもあります。
要するに、設計やパーツ、実釣実験、品質管理等でメーカー品ほどこだわっていないため低価格で販売できると思ってください。

◆品質

メーカー品は一定の品質の商品が売られていますが、安エギは品質管理がされていないことが多いです。極端な話、同じ商品でも、ひとつひとつの製品の品質が違うのです。よく釣れた安エギがあったので同じ商品を買っても、そのエギがよく釣れたものと同程度の釣果をもたらすとは限らないということです。これはメーカー品でもあることのようですが、安エギは著しいことです。
また、使用されている個々のパーツもメーカー品ほど高品質のものではないことが多いです。金属は錆びやすかったり、曲がりやすかったり、折れやすかったりします。
それでは、個々のパーツごとに安エギの問題点と対処方法について説明します。

パーツごとの注意事項

◆ラインアイ
ジャークをしていたらラインアイがエギ本体からすっぽ抜けたことがありました。キロアップ(と思われる大物)のイカが乗った場合はジェット噴射の途中でラインアイが抜け、リールを巻くとリーダーの先にはラインアイだけが戻って来るという惨事が想定されます。
見た目では分からないことなのでリスク管理はできず、リスクを覚悟するしかありません。

ラインアイが固定されておらず、ヒモのようにぐらつく商品もありました。ジャークは瞬間的にエギに力を加えてダートさせるのですが、瞬間的な力が加わらないため、このエギは全くダートせず、シャクリ(引っ張る)のアクションしか出来ません。現在は根掛覚悟のボトムステイ専用となっています。
写真のように、最初からラインアイが曲がっている製品もあります。まっすぐに修正することは可能ですが、金属を曲げるので、ますます強度が弱くなります。
ラインアイが曲がりやすい商品もあります。根掛して強い力で引っ張って回収したらラインアイが曲がっていることもあります。普通は、根掛したら、カンナが曲がっていないか確認するものですが、安エギの場合にはカンナだけではなくラインアイを確認する必要がありそうです。

◆羽根

写真のように左右の羽根の取り付け位置や羽根の量のバランスが違うことがあります。最初から羽根の量が違う場合もあれば、使っている途中に抜けてバランスが変わる場合もあります。パッケージから出した途端に羽根が抜ける製品もありました。安エギなんてそんなものです。
バランスが違えば、傾いた不自然なフォールになります。進行方向も斜めになるかもしれません。その影響は試したことはありませんが、真っすぐ進まないエギは釣れないと聞いたことがありますので、良いとは思えません。
購入時の確認と、釣りながらの確認で対応できます。

◆カンナ

メーカー品を使い続けた後で安エギに代えたところ、バラシを連発したことがありました。アタリがあったので同じようにロッドを立ててあわせてもイカが乗らない。原因はカンナでした。メーカー品の針先をさわれば痛いのですが、その安エギの針先は、あまり痛くありませんでした。製品のバラつきではなく商品ごとに採用しているカンナが違うと思われます。
アワセを強くするか、その商品は買わないことで対応できます。
ただし、ただでさえカンナが刺さりにくい春の大物の場合は刺さらないリスクがより大きくなり、逃した獲物も大きくなることを覚悟する必要があります。
また、写真のようにカンナに接着剤がはみ出ている商品もあります。釣果への影響は小さいとは思いますが、安エギ作成の作業工程と品質管理の杜撰さを推測させるものです。
また、カンナをチューニングするために曲げようとしたら、カンナの針が折れたり、カンナが根本から折れる商品もあります。これも大物がかかったとき、足1本だったら針が折れるおそれがあります。ジェット噴射でカンナが根本から折れるおそれがあります。

◆アイ
写真のようにアイの左右で取り付け角度がずれていたり、前後に位置がずれていたり、接着剤がはみ出している製品があります。
これも安エギ作成の作業工程と品質管理の杜撰さを推測させるものです。
箱が透明なら購入時に確認できます。
なお、写真ではラインアイが曲がっており、金具の強度が弱い製品だったようです。

◆シンカー
メーカー品は根掛しにくい形にしたり、水の抵抗を考えたり、重心を考えての形にするなどシンカーにもこだわりがあります。
写真では、右の2つが安エギです。右端のエギは斜めになっていて分かりづらいのですが、右から2番目と同じタイプです。メーカー品の多様さ、形状の複雑さと比較すると安エギはシンプルです。
管理人は経験したことはありませんが、根掛でシンカーが引っかかり、回収しようとしたらシンカーが外れたという話を聞きます。
また、沈下速度や角度を考えず、とにかくオモリがついているだけと思われる商品もあります。 安エギには沈下速度の表示がないものも多くありますが、表示はなくてもディープタイプというわけです。
実際に、ウルトラディープタイプ−エギ王QLiveの沈下速度の約1.5倍もの速度で沈下する製品もありました。

◆ボディ
釣り終わり、エギを真水に沈めて潮抜きをしていると、通常はカンナ側が浮かぶのですが、水槽で寝転がる安エギがありました。振ってみるとチャプチャプ音がし、内部に浸水していることが分かりました。見た目では判別できず、使ってみるまでは分からず、浸水していたら釣果は期待できず、補修も困難という致命的な不良品です。
商品によっては浸水率が1割以上のものもありました。
また、上記「設計」で紹介した写真のように3.5号と表記しているのに小さく、ボディサイズがいい加減なエギもありました。
なお、最近のメーカー品は、ダート性能を向上させるためにノーズが細くなっており、細くしても強度を確保するためにボディの素材や構造を工夫しています。安エギはこのようなことに経費をかけられず、ノーズが太く、一般的にはメーカー品よりダート性能が劣ります。

さらに、中心バランスが崩れた安エギもあります。「徹底解剖」のタイトルに恥じないように、実際に安エギをノコギリで切ったのが右の写真です。解像度があまり良くないのですが…。形状が左右均等ではありませんし、布を入れるラインが真ん中からズレています。さらに、シンカーも中心線からズレていますし、角度もズレているので真っすぐ立ちません。
想像ですが、削り出しの工程が「だいたい」で、切れ目を入れる工程も作業員の感覚による「だいたい」が原因かと思います。
ここに、安エギの新法則、「木製の安エギはハイリスク」を発見しました。

◆上布
上布は腹部でエギ本体に押し込まれていますが、使っているうちに腹部から上布がはがれてくる製品もあります。あらかじめ接着剤を塗って補強したり、はがれたらカッターナイフの刃の背などで押し込むなど補修できます。

◆さびやすさ

使った後で潮抜きして、干して乾かしてもラインアイがさびてくる商品があります。メーカー品は同じ取り扱いでもさびません。念入りに潮抜きし、念入りに乾かす必要があるようです。

安エギの上手な活用方法と課題

◆秋のエギングで
これまで説明したように、安エギは春のデカイカが抱いてもバラすおそれがあります。滅多に釣れない大物をバラす悔しさは体験したくありません。さらに、警戒心が強い春イカは、安エギの不自然な動きで警戒するおそれがあります。このように、”信頼できない”安エギを春のエギングで使うのはリスクが高くなります。
春のエギングで”信頼できる”安エギを使うために、カンナがしっかりした商品であることを確認した上で、秋のエギングで実績のある安エギだけを春で使います。
特に、秋の活性が高いときは積極的に安エギをローテーションして、釣れるエギと釣れないエギを選別すべきです。

◆底取りができるようになるまでの練習用として

入門者の最初の難関は底取り(着底をラインの変化で把握すること)です。これが分からず、エギが底についた状態でラインを出しっぱなしで放置すると、潮にエギやラインが引っ張られてエギが海底を転がって根掛かりします。
そこで、底取りの練習用として安エギを使います。糸オモリをまくなど、重たいエギの方が底取りは分かりやすいので、安エギをディープチューンして練習する方法もあります。

◆偵察用として
初めて探る場所では底の状況が分かりません。平坦なのか、岩がごろごろあって根掛しやすいのか、海藻帯で引っかかりやすいのか…。そこで、偵察用に安エギを使うという考え方があります。
一方、1投目から乗ってくるイカもいますが、安エギが不良品の場合は警戒してエギを抱きません。釣れたはずのイカを逃す可能性もあります。

◆根の荒い場所で

管理人の好きなポイントに、駐車場からのアクセスが容易なのに有名な場所が近くにあるためほとんど人が来ず、イカがスレていないため10分に1杯は釣れるという場所があります。しかし、行けば必ずエギをロストするというジンクスもあります。ある程度エギを沈めなければ誘いになりませんし、イカを乗せるためのフォールの時間も確保できませんが、気をつけても根掛します。
行くたびにメーカー品をロストしてはもったいなく、やむを得ないので安エギを使おうかと思います。このように、根が荒いと分かっている場所では安エギの出番です。

◆エギのチューンの練習

イカを釣るだけがエギングの楽しみではありません。シンカーに穴をあけてシャローチューンしたり、マーカーでドット地を入れたり、カンナを曲げて藻場対策を施すなどエギをチューンする楽しみがあります。が、いきなりメーカー品をチューンして失敗したらもったいないので、まずは安エギで練習するという使い道もあります。

◆メーカー品のエギを数多くロストしたとき
管理人は基本的に安エギを使いませんが、メーカー品のエギを数多くロストして、その損失に心が折れたときに安エギを使います。

◆安エギを使わない状況

上記には当てはまらない状況では、安エギを使う必然性はありません。安エギを中心に使っている方も切り札としてのメーカー品を持っているとメリハリができます。
根掛の心配がなかったり、底を取らない攻め方ではメーカー品の方がエギングに集中できます。また、多くの人がいてイカがスレている状況では、安エギでは釣れないかもしれず、高品質なメーカー品を使う必要があるかもしれません。

◆安エギのデメリット

パーツごとの注意事項で説明しましたが、安エギは、使いながらも品質に注意する必要があります。ハズレの安エギかもしれないと疑いながらエギングをするのと、エギを信じてエギングをするのでは集中力が違い、釣果に影響します。
また、ハズレエギを使っていたら、それまでの時間が無駄になります。
管理人は、1日中エギングを出来る時間はありません。基本的に、2時間程度の短時間釣行です。安エギに時間も集中力もかけられないため、ほぼ、メーカー品を使うようになりました。

安エギ購入時の注意事項等

◆まとめ買いは厳禁
商品の特性が分かるまでは、まとめ買いはゴミを買いためるおそれがあります。管理人は、値段の安さにつられてラインアイがぐらつく安エギを大量購入して、不良在庫を抱えています。

◆木製の安エギはハイリスク
先ほど確認したような、左右が均等ではない安エギもあります。
全ての木製のエギが釣れないほどひどい製品とは限りませんが、プラスチック製品よりも品質のばらつきが多いはずです。

◆外見を確認できるものは確認して

箱の外から外見を確認できるものは、羽根やアイの左右のバランスや接着剤のはみ出し等をチェックして購入してください。

◆値段の安さを計算に入れて

安エギには、どんな不良品があるか分かりません。不良品であることに気付かないこともあります。釣れなくても、または想像もできない不良品でも、所詮は安エギです。釣具屋ならクレームを言えば取り替えてくれるとは思いますが、それ以上に失うものが大きいと思います。心証を悪くして良い情報を教えてくれなくなるでしょう。100均なら交換してくれないのではないでしょうか。管理人は不良品が混ざることを覚悟の上で、販売価格の2〜4割増し程度の気持ちで購入しています。

◆管理人のおすすめ

時間が十分ある学生や、安エギからエースを発掘したい職人気質な方を除いては、安エギはおすすめできません。
管理人としては、メーカー品で型落ちしたものなどが400円未満で販売されていることがあり、こちらをおすすめします。メーカー品は安心してエギングに集中できます。動作も安エギとは違います。ただし、メーカー品だけでカラーローテーションするだけのエギをそろえる余裕がない場合、補完するように安エギを購入する方法があります。
なお、管理人はダイソー等100均のエギを使ったことはなく、評価することはできません。

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