正しいリリースの方法
リリースの方法を誤ると、せっかくイカを海に逃がしても死んでしまいます。ここでは、正しいリリースの方法について説明します。
なお、本稿を作成するに当たり、(株)ヤマリア様及びしまね海洋館アクアスのアオリイカ飼育担当者様に多くの情報をいただきました。この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。
イカにダメージを与える行為
◆素手で触ると致命的
素手で触ったイカは、ほとんど死んでしまいます。原因は雑菌、火傷と考えられています。イカは、他のイカと触れても火傷するほどデリケートだそうです。どうしても触らないと作業が出来ない場合は、他の魚類同様で、軍手を充分に海水に浸してから触るのが理想的だそうです。
手で触ったぐらいで死ぬ?と疑問にお持ちの方は、カブトムシの幼虫を素手でべたべたと触ってください。間違いなく全滅します。管理人は子供のときに幼虫を素手で触って可愛がって毎年全滅させていました。今、放任飼育で毎年のように成虫まで育っています。
また、イカの体の構造を考えてください。内臓を熱から守る脂肪や筋肉はないため、内臓がむき出しに等しい状態です。人間ですら、体温が42℃以上、平熱より+5℃以上になるとタンパク質が凝固して死んでしまいます。海水温よりも約15℃高い人間が触り、熱が伝わることの恐ろしさをご理解いただけるのではないでしょうか。
◆陸地に置くのもダメです
釣れたイカを灼熱の堤防に置くのはもちろんダメです。大火傷です。
地温が高くない場合もイカの表面に傷が出来て雑菌が入るおそれがあります。また、火傷のおそれもあります。
◆衝撃には弱い
幼少期、水槽の壁にぶつかっても死んでしまうアオリイカです。
足場が高い場所からのリリースや、リリースして落下中に岩やテトラにぶつかると、衝撃で生存率は激減します。
また、目の粗いタモで救うのも局所的に強い衝撃を与え、アオリイカにダメージを与え、死に至らしめることがあります。
◆体内の水分が抜けるのも致命的
体内の水を全て吐き出したら、リリースしても体内の空気が抜けずに浮いてしまい、鳥や魚のエサになるそうです。
速やかにリリースする必要があります。
小型のイカは鼓動が早く、体内の水を最終的に噴射してしまうまでが時間的に短い場合が多いため、特に速やかにリリースしてください。
◆ギャフも論外
ギャフで内臓に傷をつけたら当然死にます。エンペラに傷がついたアオリイカが釣れることがあるので、エンペラ部分なら多少は生存できるように思いますが、リリース前提ならギャフを使うべきではありません。
◆目にカンナが刺さったイカはキープ
優れた視力に頼ってエサを見つけ、捕まえているアオリイカです。また、逃げるときも同様と思われます。
片目でもカンナが刺さり視力を失ったイカが生きていけるほど海の環境は優しいものとは思えません。
目にカンナが刺さっていたらキープです。
◆触腕が伸びたイカもキープ
いわゆる「触腕がかり」でアオリイカを取り込み、触腕が伸びたアオリイカもエサの捕獲能力が大きく低下するので生きていけないと思います。
触腕が伸びたアオリイカもキープです。
正しいリリースの方法
◆ダメージを最小限に
ということで、上記のダメージをイカに与えないようにリリースするのが正しいリリースということになります。
釣り上げたらカンナの位置を見て、目や触腕へのダメージがないようならリリースすることとして、速やかに、できるだけ低い位置で、イカに触らないようにエギを下向きにしてカンナから外して海に落とします。
海水を張ったバケツを用意し、外すのに時間が掛かると判断したらすぐにバケツに入れて、落ち着かせてから外す方法もあります。 防波堤でエギングをする場合は、スミを流すためにバケツを用意していたら、あらかじめ海水を汲んでおくと良いでしょう。
取り込まずに海水中でリリースできればベストですが、テンションをかけたりゆるめたりして上下させても意外とカンナは外れにくいものです。
◆それでも子イカは
1.8号や2.0号でなければ抱かないような子イカは、釣られて引っ張られること自体が相当な衝撃となりますし、低い位置からリリースしても相対的に大きなダメージを受け、ほとんどが死んでしまうと推測しています。
◆メスの親イカは逃がしてください
親イカシーズンにメスが釣れたら、資源確保のためにできれば逃がしてあげてください。持ち帰って解体すると大量の卵が出てきて後ろめたい気持ちになります。
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